アクアリウム 水草の初心者が知らない水草育成に重要な栄養素とは?
アクアリウム初心者が美しい水草水槽に憧れて綺麗にレイアウトをしたもののすぐに水草が枯れてしまったということは よくあることです。それでは一体何が間違っていたのでしょう?水草の育成に必要な基礎的な知識を説明してみます。
水草育成に重要な栄養素のコンテンツ
- アクアリウム初心者が知っておくべき水草育成の栄養素(窒素)
- 水草育成の3大栄養素、リン Pについて
- 水草育成の3大栄養素、カリウム Kについて
- 水草育成の3大栄養素以外の微量元素について
- カルシウム Ca 中量要素
- 鉄 Fe
- マグネシウム Mg
- 硫黄 S
- ソイルによる栄養素供給の効果
- 水草肥料のエビへの影響・使いすぎはエビを死なせる?
- ハイポネックスのメダカへの影響
- ハイポネックスは水草の肥料としてもいい?く
- 栄養素のバランスをもう少し詳しく
- まとめ
1.アクアリウム初心者が知っておくべき水草育成の栄養素
アクアリウムの初心者さんでも小学校や中学校など学生の時に学んだ植物についての知識はあると思いますが、
水草を綺麗に育成しようとなるとそこから更に、知っておかないといけないことがあります。
もちろん水草は成長するにあたって光合成を行い栄養を養分にするため、光、水、二酸化炭素が十分にあって、さらに水草が成長する水温という条件が整っている場合でのお話です。(場合によっては二酸化炭素を添加する必要がない時や低光量でも育つ水草もあります)
まずは栄養素のことです。なかでも水草の3大栄養素と呼ばれる窒素、リン、カリウムから説明していきます。
植物の3大栄養素(ここでは水草育成の3大栄養素といってますが)といわれることからわかるように窒素 N、リン P、カリウム Kはどれも欠かすことのできない大事な
栄養素です。
それでは窒素から説明をしていきましょう。窒素とは主に水草を緑色を与えている葉緑素の主成分となるもので葉や茎をつくる為に光合成に
もっとも必要とされる栄養素です。水槽飼育などのアクアリウムのなかでは供給元は枯れ草や生体の排泄物(アンモニアを分解する過程で発生する硝酸も
窒素分が含まれる)、残り餌などからも発生する為、供給過多になりやすく、水換えの役割はこの水槽に蓄積された、供給過多になりやすい成分を排出するという
重要な役割があります。供給過多になるぐらいなのであまりないことですが、窒素が足りない場合は水草の葉が小さく、黄色くなったりという症状が現れます。
コケがはえやすくなるということもありますので
窒素に関しては欠乏より水換えによる排出を意識したほうが良いでしょう。
2.水草育成の3大栄養素 リン Pについて
次にリン Pについての説明をしていきます。
リンは主に植物(ここでは水草)についてのエネルギーの代謝に深く関わっていて発芽や開花、種をつけることなどに強い影響を与えます。
グロッソスティグマなどのランナーを伸ばしながら成長する水草では特に要求量が多いです。
(欠乏気味な場合は植物が病気にかかりやすくなったり、根の発育が悪くなるなど)
こちらの栄養素ももちろん大事な栄養素ですが水槽内での自然な供給量でも不足しにくいです。
しかし、底床のソイル(特に黒土)に含まれるアルミナや鉄などの成分によって吸着されやすく、水草に吸収されにくい状態になっていることもあります。
その為、あまりに吸着能力が高いと思われる新しいソイルを使用する場合や水槽の立ち上げ時にはリン酸を単独で供給すべき場合もあります。
水草を大量に植えている水草専用の水槽などはハイポネックスなどの液体肥料が大変有効な場合がありますが、観賞魚やエビ類などの生体が
たくさん入っているような環境では逆に飼育水が富栄養化して黒ヒゲごけなどコケを大量に発生させる原因になりますので水草やコケの状態をよく見て
判断するようにしましょう。欠乏すると水草の新芽やランナーが成長しにくいといった影響がでてきます。
3.水草育成の3大栄養素 カリウム Kについて
主に光合成の促進や栄養素を取り込むために利用されると言われてている成分です。カリウムが欠乏すると葉が変形したり、葉が黄色くなるような症状が現れます。 カリウムは生体内にも植物内にも豊富にふくまれていて死んだ生体や、枯れた葉っぱ、水草のトリミング時などに水中に流出します。上記にあげた2つの栄養素より、 水槽内では不足しがちな為、追肥が必要なケースが多いです。(水中では不足しない為、追肥をすると富栄養化するという意見もありますのでやはり状況をみて判断するしかありません)
4.水草育成の3大栄養素以外の微量元素について
ここまで三大栄養素について説明してきましたがもちろん三大栄養素に比べると格段に要求量が減るとはいえ、 中量要素や二次栄養素などとも呼ばれる必須の栄養素はほかにもあります。代表的なものを4つほどあげておきます。
カルシウム Ca 中量要素
1.カルシウム Ca 中量要素と呼ばれているもののなかで一番重要とも言われているもので資料によっては重要栄養素とも言われているようです。 酵素の活性化や新芽の成長に欠かせな栄養素です。欠乏した場合は新芽の成長が悪くなったり灰白化したりといった症状がでるようですが通常は水換えの時に水道水から供給されたり、 もともと水草を植えるのに使用するソイルに含まれているため、欠乏することはすくないようです。
鉄(鉄分) Fe
2.鉄(鉄分) Fe 植物内での酵素を生成する働きや窒素の代謝させるためや酸素運搬など植物の代謝活動、葉緑素を形成するためなどに利用されます。ソイルに含まれている為、通常、欠乏することは少ないともされていますが
特に赤系のワリッキーなど水草などを綺麗に発色させる為には、追肥が有効です。鉄分にも種類がある為、水換えなどにより水道水から供給される三価鉄ではなく
水草が利用する二価鉄が必要になります。
ちなみに植物は、本来、自ら備える能力である根酸(クエン酸)により、鉄分を人工的に与えなくとも土壌(ソイルなどにも)に含まれる鉄分を吸収することができます。そのため、先ほど鉄分の
追加が有効とは書いたものの鉄分を過剰に与えすぎているということもよくあるようです。
鉄分が土壌からうまく吸収できずに鉄分不足が水草に現れている症状としては、水草の先端からの白化や黄化といった症状、葉の色が透けたような状態になり枯れていく
といった症状です。(水質が極端にアルカリ性に傾いたり植えてある土壌がアルカリ性の場合に見られる)
逆に鉄分を与えすぎているという状況は、過剰な鉄分がリン酸と結びついて植物の根や葉を溶かしていく原因にもなるリン酸鉄になったり、リンがリン酸鉄となる
ことによるリンが不足してくるといった症状です。他にもモリブデンやカリなどの栄養素の水草への吸収を阻害するという悪い影響が見られます。
マグネシウム Mg
3.マグネシウム Mg 葉緑素の構成元素のためとても重要だとされています。カルシウムと同じような役割もあり、 欠乏すると、葉っぱが黄色化したり、白化するという症状がでてきます。ソイルにもある程度含まれているので特に追肥が必要ということはありません。
硫黄 S
4.硫黄 S タンパク質を構成する元素で、酵素のを生成するために必要です。植物内にも含まれていてます。欠乏すると根の成長が悪くなったり、あまりにも足りていない場合は それが原因で枯れてしまうこともあります。これもソイルにも含まれています。
5.その他 他にはマンガン、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデン、塩素などの元素がありますがここまでは考える必要はないのかもしれません。 上記に紹介したもののバランスが取れていればそれで大丈夫でしょう。
5.ソイルによる栄養素供給の効果
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上記の栄養素を説明するうえで度々ソイルに含まれているという言葉を使っていますが、実際、最初の数ヶ月は(環境にもよりますが)
ソイルから必要な栄養素は十分供給されるのであまり気にすることはないでしょう。むしろ、まだまだ水草も繁茂していない状態で大量の栄養素が流れだす為、
全く水換えをしていないと不栄養素化してコケを育成しているような環境になってしまいかねません。
私はよく肥料を必要としそうな(グロッソスティグマや他有茎水草等)を繁茂させたい時は下記で画像を載せているテトラ社のイニシャルスティック等の少しずつ肥料が流れだすような
ものを使用し、貧栄養素でも育つような水草の時は水槽の立ち上げ時に肥料は入れてなくてもよいと思います。むしろ、最初の1~2週間は毎日のように水換えをして
余分にソイルから供給される栄養素を排出するべきでしょう。液肥の添加等はもってのほかで、コケまみれ一直線でしょう。
大磯などでも平気で育つ水草もありますがそういった水草以外は大磯では栄養素が不足する為、育成が難しいです。
(固形肥料と液肥を使って大磯で水草を繁茂させている方もいるのでもちろん無理ではないです)
ソイルといっても栄養素供給に特化したものと有害物質を吸着する方に特化したものなどいろいろな種類がありますので購入する際はよく調べて
購入しましょう。貧栄養素でも育つ(たいして根からの栄養を必要としない)水草に栄養素供給に特化したソイルを使うと想像通りコケまみれになりやすいでしょう。
逆に肥料をたくさん必要とする水草に(グロッソスティグマなど)吸着に特化したソイルをしようすると細い葉になったり全然成長しなかったり、
明らかに追肥が必要になるでしょう。ソイルも慎重に選ばないと後々苦労することになってしまいます。
7.水草肥料のエビへの影響・使いすぎはエビを死なせる?
水草の肥料がエビや水質の変化を受けやすい生き物にどう影響するのかという問いに対して、一概に「全く影響がない」とも、「必ず影響がある」とも断言することは難しいのが現状です。
これは、水草肥料の成分やエビの種類、水質の状態など、多くの要素が関わってくるからです。
水草肥料は、その成分が水質を変化させる可能性があります。特に、肥料の中に含まれる窒素やリンなどの栄養素は、過剰になると水質を悪化させ、エビに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、エビ自体も水質の変化に敏感で、特に塩分濃度やpHなどが急激に変化するとストレスを感じ、健康を害するということはあります。
一方で、適量の水草肥料はエビに影響を及ぼさないと主張する人もいます。こ
れは、肥料の成分が適切なバランスであれば、水草の成長を促し、同時にエビの生息環境を改善する可能性があるからです。
しかし、これもエビの種類や水質の状態によります。
したがって、水草肥料とエビの関係については、一概には言えず、水草とエビが共存する環境では、どちらも少量ずつ日数をかけて添加し、その反応を観察することでリスクを軽減できるでしょう。
また、水草肥料の成分や添加量を適切に管理し、水質の変化は常にチェックするようにしましょう。
水草の肥料はエビに影響を及ぼす可能性があることを認識し、適切な管理を心掛け、全く無害ではないという注意を払いながら扱うことで、水草とエビが共存する美しい水景を楽しむことができるでしょう。
8.ハイポネックスのメダカへの影響
ハイポネックスがメダカに悪影響を及ぼす可能性については、エビに対する影響と比較するなら、使用量を適切に管理すれば、大きな問題はないと考えられます。 ハイポネックスは植物の肥料としては広く使用されており、適切な量であれば生物にもほとんど影響なく植物に有益な成分を提供できます。 ただ、過剰に量を使用しすぎると、水質がに影響を及ぼし、メダカの生息環境に悪影響を及ぼす可能性はあります。 私の知る限りでは、ハイポネックスを使いすぎてメダカが死んでしまったという話は聞いた事がありません。ただこれはハイポネックスの使用量を適切に管理できている人達が使用しているからで アクアリウム初心者があまり水草の育成に使用してないだけかも知れません。 そういうわけで、ハイポネックスの使用に際しては、使用量の管理が非常に重要で 適切な使用量を守ることで、メダカの健康を維持し、生息環境を良好に保つことが可能なのです。
9.ハイポネックスは水草の肥料としてもいい?
観葉植物などを育てている方は、植物の育成としてピンとくるのは、植物の肥料として有名なハイポネックスなども水草の育成用に使えるんじゃないか?
と思うことがあるのではないでしょうか。結論からいってしまえば、水草も植物なので当然水草の育成にも効果は期待できます。というかあります。
なら、高価な水草育成用の肥料を購入しなくてもいいじゃないかという気がするかもしれませんが、ハイポネックスは生体のいる水槽の水草への肥料という
わけではありません。したがって水槽内の生物に影響がないかといえば、先ほどもメダカへの影響でいいましたが使用量を誤ればあるでしょう。
じゃあ、ハイポネックスの使い方や使用する量を間違わなければ生体に影響はないのか?ということですが、なかなか生体にも安全で、水草だけに良い影響がでる量を与えるのは難しいのではないでしょうか。そもそもハイポネックスは
販売されているタイプも様々で入れすぎるとコケまみれになる可能性も高いです。そういうことなので、よほど自信や経験のある方でない限りはハイポネックスではなく水草用で販売されている肥料を説明をよく読んで使用することをおすすめします。
10.栄養素のバランスをもう少し詳しく
栄養素はバランスが大事という話を先程からしていましたが、3大栄養素の中の最も足りない肥料分が植物の成長を制限してしまうという「リービッヒの最小律」という
話がありました。これは結局、どれか1つの栄養素でも必要量に足りていなければ他の2つの栄養素をいくらたしても意味が無いといった意味で、少し昔の話なので現在では
もちろんそれだけではないということになっていますが、それくらい栄養素・養分はバランスが大事という意味では間違いでもないようです。
例えば陰イオンであるリン酸と陽イオンのカルシウムが同じタイミングで添加されるとします。そうするとその2つは結びついてしまい
リン酸カルシウムになってしまい不溶化してしまうのです。これではせっかく添加しても意味が無いですね。他にはカリウムを添加するとpHが上昇し、
鉄の吸収が阻害されたり、カリウムを過剰に添加してしまうと、カルシウムやマグネシウムの吸収が阻害されてしまうなど、むしろデメリットにもなりかねません。
11.まとめ
いかがだったでしょうか?いろいろな栄養素を紹介してきましたが大事なのはバランスでまずは光量を確保し、水換えにより富栄養化を防ぎ、初めて、 その上でご自分の飼育環境での水草の成長具合、コケの繁殖スピードなどの様子をみながら上手くいっていない点の解決案を考えてみるべきだと思います。 水換えをまったくしていなかったり、光量が明らかに足りていない場合は栄養素の問題までたどりつくことさえできません。 日々のメンテナンスをしっかりやっているのになぜかうまくいかないという方は是非一度、水草に必要な栄養素は足りているか、 追肥は必要か、などを考えてみてはいかがでしょうか?